病気一口メモ

『紫外線と目』

すが眼科    菅 英毅

 


 人の眼で見ることの出来ない波長の短い光を紫外線(UV)と言います。さらに紫外線は波長の違いでABCの3種類に分けられ、UVAとUVBは眼の組織に影響を与えるといわれています。この紫外線は一年を通じて降り注ぎ、4月から8月が最も多くなります。

 昨今、オゾン層の破壊に伴って、眼球を含めた人体への影響が心配されています。眼に入る紫外線の大部分は表面の角膜で吸収されますが、一部は奥の水晶体や網膜まで達します。紫外線による水晶体や網膜のダメージが蓄積が、眼疾患や目の老化を促進させる原因の一つとなっています。

 雪山でサングラスやゴーグルを装用せず長時間いると、「雪目」という状態になり、ひどくなると痛みで眼を開けていられなくなります。紫外線により角膜の表面に無数の細かい傷ができるためです。保護眼鏡なしで溶接を行ったり、殺菌灯を見続けたりした場合にも起こります。

 翼状片という結膜(白目)の一部が角膜に侵入する疾患も紫外線との関連がいわれています。進行はゆうっくりですが、放置して膜が瞳孔近くまで伸びると視力障害を起こすため外科的切除を行いますが、再発することも度々あります。

 白内障は老化現象の一種ですが、紫外線が影響している可能性が指摘されています。角膜を通過した紫外線の大部分が水晶体で吸収されますが、水晶体に含まれるたん白質が紫外線により変性し、濁ってくるのです。

 通常の生活では眼底の網膜に届く紫外線はわずかで、網膜に関しては、過剰になる必要はありませんが、失明することもある加齢黄斑変性病との関係も指摘されています。

 紫外線は直射日光だけではなく、様々なものに反射し、散乱しています。紫外線の少ない季節でも多くの紫外線を浴びている可能性があり、紫外線対策は一年を通じて行うことが大切です。具体的には、外出する際には、つばの広く帽子などの日除け、UVカット付きのメガネあサングラスを装用することが大切です。

 


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