病気一口メモ

ロコモティブシンドローム・変形性膝関節症とヒアルロン酸

東彼杵郡医師会    山本 尚幸

 


ロコモティブシンドローム

 先日、日本人の平均寿命がされに延びて、女性は世界第一位、男性は第四位と発表されました。しかしながら、人が自立して生活できる期間はそれよりも6〜8年短く、その「健康寿命」を延ばす事が求められています。

 生活習慣病の予備軍がメタボリックシンドローム(通称メタボ!)と呼ばれていますが、膝や腰など運動器の障害で介護が必要になる危険性が高い状態をロコモティブシンドローム(ロコモと呼ばれるようになるかはわかりません…)と呼ばれるようになりました。TVなどで耳にした方もおられるかもしれません。

 

変形性膝関節症とヒアルロン酸

 そのロコモティブシンドロームの原因の一つに変形性膝関節症があります。膝関節のクッションの役割をする軟骨が徐々にすり減って痛みが起こるものです。

 一応病気なのですが、私は病気ではなく顔のしわと一緒で誰にでも起こる年齢的なものと説明しています。残念ながら顔のしわと違って痛みがあるので対応が必要となってきます。

 治療は初期であれば、消炎剤の内服薬や貼り薬、電気治療などがありますが、中期になるとそれでは改善せずヒアルロン酸注射が必要になってきます。ヒアルロン酸は潤滑油やクッションの役目を果たしていますが、炎症や痛みを抑える効果もあります。

 立つこともできないくらい病状が進行した末期でなければ効果がある患者さんがかなりいらっしゃいます。それ以上は手術となりますが、一定のリスクはあるものの疼痛は軽快します。

 一方、ヒアルロン酸が飲んでも効くかどうかはいまだに一定の結論は出ていません。今の段階では飲むヒアルロン酸は健康食品の一つと考えたほうがいいでしょう。

 自己判断で健康食品に頼りすぎて、適切な診断や治療が遅れることがないように、膝の痛みが長引いたら病院の診察を受けた方が良いでしょう。

 予防は運動療法が効果的です(しおさいの湯や総合会館などに通いましょう!)。避難気味の方はダイエットもがんばりましょう。

 「健康寿命」を延ばして、いつまでも自立したシニアライフを元気で楽しく送っていただきたいと思います。

 


ページのTOPへ