病気一口メモ

”つまらなくする”話

東彼杵郡医師会    青木 眞二

 


耳鼻科の患者さんは、よく”つまる”という訴えをされます。そこで代表的な疾患をあげ”つまらなくする”はなしをしてみたいと思います。今回は耳です。

(1)耳垢栓塞

 いわゆる”みみあか”です。耳鼻科検診では、鼓膜が見えないほど詰まっている方が数%おられます。家で取れない場合は専門医にご相談下さい。顕微鏡下に痛みもなくとれます。御高齢の方もぜひ受診を!

(2)滲出性中耳炎

 鼓膜内側に水がたまる中耳炎です。乳幼児で数%おられます。成人の方でも副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎に併発しておこります。学校の検査では異常を指摘されない事もあり、聞き逃しの為学業にも影響します。通気療法など定期的治療が必要です。時に鼓膜切開排液、鼓膜チューブ留置が必要になり、放置すると慢性中耳炎になることも!治療で必ず後遺症なく治ります。

(3)内耳障害

 鼓膜の内側の奥にある、音の振動を電気信号に変える場所の障害で”みみづまり”を生じます。メニエール病、突発性難聴、ムンプス難聴などが有名です。音波を感知する有毛細胞の毛髪同様抜けていくのです。加齢現象の難聴も同じです。

 あきらめないでください!そしてできるだけ早期に受信されてください。治療は、

@混合ガス吸入

 酸素95%二酸化炭素5%のガスを吸入します。二酸化炭素は脳血管拡張作用があり、100%酸素吸入より効果的に脳に酸素が送られます。耳鳴、難聴の治療として欧米では日常に行われています。

Aホルモン剤、利尿剤、ビタミンの点滴

 体調により多少内容は変わりますが、混合ガス吸入と併用すれば効率良く有毛細胞のダメージを防ぎます。

 以上の治療の約8割の方が改善します。加齢による難聴も治療で改善する場合が多く、少なくとも定期的治療を受けておられる方は、10年、20年たっても”きこえ”は落ちません。”つまらない”話で恐縮です。ハイ、以上ととのいました!

 


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