病気一口メモ

NASH(ナッシュ)について

川棚町    本川 正和

 


 脂肪肝の中に肝細胞がんを発症することがあるNASHという病気があり、今後増加することが予想されますので、今回はNASHという病気を紹介します。

 健康診断受診者の約25%に脂肪肝を認めますが、脂肪肝はアルコール性と非アルコール性に分類されます。非アルコール性の肝脂肪は、健康診断者の約10%を占めます。また非アルコール性の脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患と呼び、単純性脂肪肝(80〜90%)と非アルコール性脂肪肝炎(10〜20%)に分けられます。単純性脂肪肝は予後良好で、非アルコール性脂肪肝炎は予後不良でNASと呼ばれます。

NASHの10〜30%は10年以内に肝硬変・肝細胞がんに進展すると言われています。日本ではすでに100万人以上が穿孔性にNASHに罹患していると推定され、20年後にはNASHが肝細胞がんの一番の病因になると予測されています。

NASHの診断は、先ず大きく非アルコール性脂肪性肝疾患を診断士、その後肝生検でNASHと診断します。

非アルコール性脂肪性肝疾患は、

@非飲酒者(アルコール性肝障害を来さな程度の機会飲酒者を含む。日本酒換算1合/日以下、ビール中瓶1本/日以下)

A画像診断(エコー、CT、MRI)での脂肪肝の診断

B他の原因による肝疾患の除外

で診断されます。

肝生検は危険を伴うため、個々ではNASHの確率が高くなる因子を紹介します。

高度の肥満、糖尿病、高齢者、検査データでは、GOT・GPTが持続して高値の人、血小板の減少、フェリチン高値、W型コラーゲン7S高値、血中インスリン高値。

治療的には非アルコール性脂肪性肝疾患の診断を付け、NASHに用心し、メタボリック症候群を合併しているケースが多いのでそれに対する治療をしっかりします。治療の基本は運動です。1日30分のウォーキング、週に3回以上を継続します。薬物で良いと言われているのは、ビタミンE、ウルソ、ゼチーア、アクトスなどです。

NASHでは、個々の病例で発症・進展因子が異なるため、画一的治療は困難であり、その人に合った治療戦略を立てることが重要です。

 


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