病気一口メモ

『大腿骨頚部骨折 〜急性期病院と慢性期病院の役割分担について〜

川棚医療センター   八並 幹

 


  我が国の平均寿命は年々伸びており世界一の長寿国といっても過言ではないようですがその反面高齢者の骨折は年々増加しております。

 高齢者の骨折の特徴として転倒、尻餅をつくといった軽微な外傷で生じる事が挙げられます。その原因の殆どは骨粗鬆症です。

 肩、腰、手首、太ももに生じることが多いのですがその中でも患者さんの日常生活への影響が多いのが太ももの骨折(大腿骨頚部骨折)です。

 

大腿部頚部骨折とは?

 太ももの付け根の骨折の事で70歳以上の高齢の女性(男:女=1:3)に多いのが特徴です。転倒後太ももを痛がって歩行不能となり救急搬送されていることがおいのですがこの骨折の困った点は疼痛のために起き上がることができずそのままにしておくと寝たきり状態になってしまうことです。

 

治療方法

 基本的には手術を行います。「高齢なので手術をしても大丈夫ですか?」とご家族から聞かれます。発生率は低いですが手術中・術後の合併症は存在し、生命に危険を及ぼすものもあるのは事実です。ただ、合併症を恐れて手術を回避した場合は寝たきり状態が長期となりほぼ100%全身状態の悪化を招きます。当院では手術の目的、手術の危険性を十分に説明しご了承頂いた上で手術治療を行なっております。

 

術後リハビリの役割分担について

 治療は手術だけでは終わりではありません。リハビリテーションを行い歩行能力の回復を図ることが必要です。リハビリ期間は手術後3〜4ヶ月必要ですが、残念なことにその全期間を当院でまかなう事はできません。

 当院を含めた急性期病院では主に救急、手術および術後の全身管理を行なっております。手術中。術後の合併症を生じず全身状態が良好えあれば、今後の治療はリハビリテーションが中心になっていきます。その段階で慢性期病院へ転院してリハビリを継続して頂く事になります。急性期病院と慢性期病院の連携で患者さんの治療に当たっていくわけです。

 東彼杵郡には慢性期病院が少なく、佐世保市は大村市の病院にリハビリの継続をお願いすることが多いのですが、皆様にはご理解及びご協力をお願い致します。

 


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