病気一口メモ

日射病・熱射病(熱中症)


 岩永医院 岩永Dr



  また暑い夏がやって来ました。ジリジリと日差しが強いが続くと日射病・熱射病が心配です。熱ケイレンや熱疲労・熱射病を熱中症といい、急性の熱中症は炎天下又は締め切った暑い室内で激しいスポーツや作業をした時に、水分や塩分の補給が不足して起こります。更に体内に熱がこもり体温の調節ができなくなってきます。昭和30年代迄は炭鉱や鉱山などの高温職場で熱中症の発生が多数報告されていたが、昭和40年代頃より冷房の普及などにより職場環境が改善され、また、炭鉱や鉱山の閉山も関係し、労働省に報告される業務上の熱中症は急激に減少しましたが、屋外でのスポーツや土木建設業などの屋外での活動時に多発傾向がみられ、死亡例もみられる。気候にも関係し、冷夏だった平成5年には減少し、翌6年の猛暑の時には増加している。最近では炎天下の駐車場の車の中に乳幼児を残したまま、買物やパチンコに興じ、戻ってみると死亡していたという痛ましい新聞で目にします。直射日光にさらされた車内は急速に温度が上がり、中にいる乳幼児は脱水症状をおこし危険な状態になるわけです。
《症状》はじめは汗を大量にかき、だるくなり頭痛や立ちくらみがし、生あくびなど起こります。筋肉痛がおこる事もあります。暑さの中にそのままにしていると頭がぼんやりしてきて、やがて意識を失って倒れます。体温は39〜40℃以上にも上昇します。
  • 熱ケイレン・・・多量の発汗にもかかわらず水分のみの摂取でナトリウム欠乏性脱水を起こす。
  • 熱疲労・・・発汗による脱水で低血圧、頻脈、尿量減少、頭痛、嘔吐などが起こる。
  • 熱射病・・・高体温、意識障害、発汗停止などが起こり、昏睡、低血圧、多臓器不全により死亡する場合も多い。
  • 慢性熱障害(夏ばて)・・・胃腸障害が著しく、食欲不振や体力低下、脱力感、疲労が長期にわたりみられる

《治療および予防》

熱中症ではいずれのタイプでもなるべく早く暑い場所から風通しの良い涼しい場所に移し、頭を高くして寝かせる。衣服を脱がせて体にこもった熱を発散させ、冷たいタオルで頭や体を冷やします。意識があれば500ccの水に食塩5g(茶さじ一杯)を入れて飲ませます。意識が戻らなかったり、ケイレンを起こした時は救急車を呼ぶなどして一刻も早く救急病院に運ぶことが必要です。日射病は予防が大切です。真夏にゲートボールやグランドゴルフをする時は早朝や夕方涼しくなってからが良いでしょう。必ず帽子をかぶり風通しの良い服をきて、スポーツドリンクなどの電解質バランスの良い飲み物を充分摂ることが日射病の大切な予防になります。暑さと上手につきあって長生きしましょう。


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