病気一口メモ

『糖尿病について』

東彼杵郡医師会    林 剛

 


 国民の8人に1人は糖尿病もしくは糖尿病予備軍と言われています。この中で「糖尿病が強く疑われる人」890万人のうち約半数が現在治療中、残りの約半数は治療を中断もしくは受けていないと考えられています。

 

<糖尿病とは>

 血糖値を調整するインスリンがうまく働かないためブドウ糖が有効に使われず、血糖が不通より高くなっている状態をいいます。ブドウ糖は体を動かすエネルギー源となるものですが、血糖値が高い状態が続くと等が血管を痛めつけているような病態になります。血管は人間の体の隅々まで行きわたっているため糖尿病を治療せずに放置するとさまざまな合併症を引き起こします。

<糖尿病の合併症には>

@眼底の血管からの出血、進行すると失明することもあります。

A腎臓の働きが悪くなると人工透析が必要になることもあります。

B神経が傷害されると手足がしびれたり、更に進むと眠れないほどの痛みが足に出たり、額に感覚が麻痺し「靴ずれ」や「たこ」や「うおのめ」の痛みを感じなくなりこの段階で手当てが遅れると足の潰瘍や壊疽まで進んでしまうことがあります。

C脳卒中や心筋梗塞を引き起こしたり、その他皮膚の感染症、歯周病等々、糖尿病が全身病と言われる所以です。

<糖尿病の治療>

1)食事療法:@腹八分目とする A食品の種類をできるだけ多くする B脂肪は控えめに C食物繊維を多く含むし野菜、海藻、きのこなどをとる D朝食、昼食、夕食を規則正しく Eゆっくりよくかんで食べる Fバランスのとれた栄養素を摂り適性なエネルギー(例:標準体重60kg中等度の仕事量の人で1日約2000kcol)を摂取すること.

2)運動療法:適切な運動はインスリンの働きを高め、ブドウ糖が筋肉や肝臓などで有効に利用されます。速歩で約40分(朝20分、夕20分)歩くと約160kcol(約ご飯1杯分)消費することができます。

3)薬物療法:内服薬、インシュリン注射。

 糖尿病は特に症状のない軽症でも放置すると進行し上記に挙げた合併症を引き起こします。早期診断・治療によって発症予防や重篤な合併症の予防へとつなげることが大切です。年に1回は検診を受けてみましょう。

 


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