病気一口メモ

『「白血病」について』

東彼杵郡医師会    川崎 千之

 


 「白血病」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか?最近、この病気を耳にされる機会も多いと思います。今回は「白血病」について解説したいと思います。

<白血病とは>

 白血病は「血液のガン」と言われています。「ガン」というと胃癌や肺癌などを思いつきますが、それらは塊(かたまり)を作りながら成長するので「固形がん」と呼ばれています。それに対して、血液は液体ですからガンになっても塊をつくることはなく、液体の状態のままで増殖していきます。正確に言うと、血液の中の「白血球」という成分がガンに変わってしまう訳ですが、ひとつひとつの白血球は固体でも、ばらばらに血液の中に浮いて血管内を流れているので、固形とはならない(塊をつくらない)訳です。

<白血病の種類>

 白血球がガンになるのが白血病ですが、ひと口に白血球といってもいろいろな種類があります。大別すると「骨髄系」と「リンパ系」に分けられます。それぞれに「急性」と「慢性」の白血病が生じますので、合計4種類、つまり「急性骨髄性白血病」「急性リンパ性白血病」「慢性骨髄性白血病」「慢性リンパ性白血病」の4種となります。これらの4種類は、名前は似ていますが性質も治療方法も全く異なります。「急性白血病」は何年たっても「慢性白血病」に変わることはありません。

<白血病の症状>

 赤血球が減ることによる「貧血」、血小板が減ることによる「出血傾向」、正常の白血球が減ることによる「感染症」が主な症状です。症状がなく、検診で偶然見つかることもあります。

<治療と予後>

 先ほどあげた4種類で全く方針が異なりますので、まずは正確な診断に基づく的確な治療計画を立てます。塊を作らないガンなので、手術で切り取ることはできません。幸い抗がん剤がよく効くことが多いので、治療を行う場合はそれぞれの病型に応じた抗がん剤を使用します。「造血幹細胞移植(骨髄移植を含む)」も必要に応じ考慮されます。

 これらの治療によりかつては不治の病と言われた白血病も治癒する方がずいぶん多くなってきた事は、本当に喜ばしいことです。

 


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