病気一口メモ

『外科疾患の治療

長崎川棚医療センター外科医長    近藤 正道

 


 長崎川棚医療センター外科および呼吸器外科

は4名のスタッフで構成され、腹部領域を宮下光世、田口恒徳、胸部領域を本庄誠司、近藤正道で担当し、主に外科手術、化学療法、および救急医療を行なっています。また1年前より緩和医療チームも立ち上がり、癌患者さんの緩和医療も開始しました。

 治療実績としては、年間およそ150〜180例の全身麻酔下の手術を行なっています。内訳は、腹部領域では、上部消化管30例、下部消化管40例、胆石20例、ヘルニア20例であり、更に腹部緊急手術が年間20例ほど行なっています。呼吸器外科では肺、乳腺、甲状腺の疾患を担当し、全身麻酔下の手術は年間40例ほどです。

 近年は内視鏡下手術が普及しています。当科でも胆嚢結石で70%、虫垂炎や肺の切除で50%の内視鏡手術がなされています。通常の開腹、開胸手術もできるだけ小さい創で行う方針であり、現在は6〜8cmの切開創でアプローチしています。これにより術後の創痛や創感染は減少傾向になっており、退院時の患者さんの満足度も高くなってきています。

 化学療法は、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌を中心に、診療ガイドラインや臨床試験結果の科学的根拠に基づいて行われるようになってきました。当院でも、実施するすべての化学療法の方法について院内で登録し、医師、薬剤師、看護師が一体となって化学療法システムの完全を高めています。また、東彼杵地区では高齢の患者さんが多いため、短期入院での化学療法が主となってきましたが、最近では、通院のみの外来化学療法の比率も増加してきており、患者さんのニーズに合わせた選択を行なっています。

癌の診療に関しては、診断、手術、化学療法、緩和医療まで、がん診療を地域で完結できるようなシステムの構築が理想と考えられます。当院でも年間の癌患者診療総数100名以上を達成し、「がん診療認定病院」を当面の目標としています。

 


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