病気一口メモ

『足がむずむずして眠れない』

東彼杵郡医師会   小鳥居 聡

 


 誰しも眠れない夜を経験した事があるかと思います。

現代社会人は、あらゆる環境にストレスが存在し、ストレスが私たちの心身に影響を与え、不眠を訴える人が多くなっています。ところで、足(脚)がむずむずして、夜眠れないことはありませんか?それは、その名のとおり「むずむず足(脚)症候群」かもしれません。むずむず脚症候群とは、足の裏やふくらはぎ、太ももなどに不快感が起こり、じっとしていられなくなる病気です。症状は夕方から夜にかけてでやすく、じっと座っている時や、寝床に入っている時など、安静にしている時に出るため、不眠症の原因にもなります。

症状の訴えはさまざまで「足の中を虫が這うような感じがする」「痛い」「かゆい」などの、なんとも言えない不快感です。これまで日本人では、この病気は極端に少なと言われて、病気の知識も殆ど普及していませんでした。そのため、医療機関を受信しても、「末端神経の障害」や「坐骨神経痛」などと診断されることも多くありました。

しかし、最近になって、日本人でも2〜4%の方が、この病気に悩まされていることが明らかになってきました。男性に比べ、女性は1・5倍多いというデータもあります。

この病気は近年、不眠症の原因として注目されています。この病気は、ドーパミンという物質の機能低下が主な原因と考えられていますが、はっきりした原因はまだわかっていません。また、パーキンソン病や腎不全、鉄欠乏貧血などに発症する場合もあり、この病気が抗うつを生じる可能性もあることが明らかにされており、無視できない病態だと捉えられるようになってきました。最近ではこの病気に対して保険適応がある薬も発売され、75%以上の方に病状の改善が見られています。また病状は足に限らず、背中全体にもあったりしますので、寝床について身体の不快感があり、身体を動かしたくなる、身体を動かすと少し楽になるが、またじっとしていると症状が起こる、といった様な症状がある場合は専門の医療機関を受診される事をお勧めします。(気になる症状のある方は、インタ^ネットの情報サイト Muzmuz.jp もご参照下さい。)

 


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