病気一口メモ

物忘れ

山本外科医院 山本Dr



高齢になると、誰でも物忘れの経験があると思います。ちょっと置いておいた物がわからなくなった。買い物に行って帰ったら1つ2つ買い忘れがあった等々自分でもいやになる事がよくありますね。これらは単に物忘れで、年を取るに従って多くなります。しかしこれは痴呆とは少し違います。
最近介護審査でも老人性痴呆が増えています。では単なる物忘れと病的な痴呆とはどこが違っているのでしょうか。簡単に云えば自分が物忘れし易くなっていると、自覚しているか否かの違いです。又一つの見分け方として、例えば 桜−鉛筆−車 といった無関係な話を覚えてもらい、5分後に云えるかどうか。もう少し志向の障害をみるためには、税金とは何かとか、『猿も木から落ちる』トイウ諺の意味をたずねてみる事です。痴呆の人は言葉の背景にある抽象的な教訓判断する事が出来なくなっています。それでは一般的に老人に見られる健忘(物忘れ)と痴呆を表にして比較してみましょう。

  物忘れ症 痴呆
本能 生理的な脳の変化 病的な脳の変化
経過 進行しない 進行性
状態像 記憶力の低下主体 多様な知能の低下
自分の存在感 ある ない
日常生活(自立) 支障なし 支障あり
人格水準 維持 低下
幻覚妄想 なし 伴うこともある
 大体のところこの表を頭に入れておくといたずらに年寄りを『しっかりしなさい』『なにをしているのか』等々怒ったり、本人に家族が振り回されたりしなくても、大体の症状、状態をつかむことが出来ると思います。最近は治療も進んでいます。家人が一番困る問題です。早め早めに専門医に診断してもらうことが一番です。
 いい老後を過ごさせる為にも注意深く暖かい目で見守っていきましょう。


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