長崎新聞健康欄
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2005年10月17日掲載

膠原病とは−種類と症状


 膠原(こうげん)病という病名を聞いたことがありますか? 多くの人は耳にしたことがあると思いますが、では、膠原病とはいったいどんな病気なのか? 例えば、肝臓病は肝臓が悪くなることですが、膠原病は内臓のうち二つ以上が障害され、強皮(きょうひ)症という膠原病の一種では皮膚、肺、腎臓にコラーゲンが増えて硬くなる変化が起こります。簡単に言いますと、膠原病は二つ以上の臓器に障害が起きるもので、皮膚にしばしば症状が出ます。

 がんに、胃がん、肺がん、大腸がん―などいろんな種類があるのと同じように、膠原病にもいろいろあり、前述の強皮症をはじめ、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群などが膠原病に含まれます。しかし、同じ膠原病であっても、エリテマトーデスと強皮症では症状や治療が大きく異なります。

 膠原病の原因はまだよく分かっていませんが、自己免疫がその原因ではないかと考えられています。それでは、その自己免疫とは何なのか? 例えば、健常者が細菌などに感染すると、抗体という、いわば細菌を破壊するミサイルがつくられ、それによって感染が治ります。ところが、膠原病ではどういうわけか細菌ではなく、自分に対して抗体(自己抗体)がつくられて、自分の体を壊してしまいます。これが自己免疫で、膠原病は自己免疫で起きると考えられているのです。

 次に、膠原病ではどんな症状が出るのか、これから分かりやすい症状について説明しますので、チェックしてみてくだい。まず、膠原病を疑う症状にレイノー症状があります。これは冷たいもの(冷水、冷房、冷凍食品など)との接触や気温の低下により、さっと指が白色または紫色に変わる症状です。自律神経失調症や更年期障害と間違えられていることがありますので注意が必要です。今まで入っていた指輪が最近入らなくなったなど、手のむくんだ感じや朝の手のこわばりも膠原病でよく見られる症状です。

 また、ひどいしもやけも要注意です。今までしもやけが出なかったのに、最近出るようになったとか、春、夏になると自然に治まっていたのに、最近治まらなくなったというような症状がある場合には注意が必要です。ただ、これらの症状は膠原病でなくても出る場合が時たまありますので、膠原病によるものかどうかを判断するため、皮膚科専門医を受診してください。膠原病は早期診断・早期治療が極めて大切です。早めの皮膚科受診をお勧めします。

 なお、県内の皮膚科専門医でつくる長崎臨床皮膚科医会では「ひふの日」のイベントとして、十一月五日午後三時から長崎市栄町の市医師会館で、「知って得する膠原病の知識」をテーマに講演会や展示、相談会などの催しを予定しています。ご自身の大切な健康を守るためにもぜひご参加ください。(注 終了しています)

(長崎市坂本一丁目、長崎大医学部皮膚科教授 佐藤伸一)
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