長崎新聞健康欄
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2006年3月20日掲載

新入学児童の健康チェック


 もうすぐ四月。新入学の季節になりましたが、準備はもうお済みですか?@子どもさんが学校生活を迎えるにあたり、健康面での注意点についてアドバイスします。

 〈予防接種〉麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)、三種混合、日本脳炎、ポリオなど定期予防接種の対象となる病気は、かかると重症になったり合併症や後遺症を起こしたりします。集団生活ではいつ病気にかかるか分かりません。これらの予防接種を受けているかどうか、もう一度母子手帳でご確認ください。また、麻疹、風疹は四月から、新混合(MR)ワクチン接種に変わりますので、未接種の場合は早めに医療機関、市や町へご相談ください。

 〈身体チェック〉学童期は身長も体重もどんどん大きくなる時期です。一年間の身長の伸びはだいたい五〜七センチで、これを成長速度といいます。成長速度が急に大きくなる、または逆に小さくなる場合は、どこかが異常だったりすることがあります。次に体重ですが、学童期に起きやすい問題の一つに肥満があり、現在では学童期小児の十人に一人が肥満症だそうです。休みの長い夏休み期間は肥満が始まりやすく要注意です。家庭での肥満予防として、▽食事は一日三食をきちんと、栄養のバランスを考えて取る▽よくかんで食べる▽夜八時以降の食事は避ける▽運動習慣を身に付ける▽家の手伝いをさせる―など、こういったことをぜひ実践してみてください。

 ほかに、▽呼んでも返事をしない▽聞き返しが多い▽テレビの音量を大きくする―などは聴力異常が疑われ、▽目を細めて物を見る▽読書など近くを見ると目が疲れやすい―などは近視や遠視の可能性があります。また、歯は乳歯から永久歯に生え変わる大事な時期です。歯科検診もお勧めします。

 〈心の発達チェック〉情緒面や社会性など心の発達は、学校での集団生活を円滑に行うためにも大変重要です。具体的には▽食事やあいさつ、片付けなど生活上のマナーが身に付いているか▽着替えやトイレなど身の回りのことができるか▽言葉は幼児語を使わなくなり、感情を言葉で表現できるか▽遊びやゲームのルールを理解できるか▽相手の立場になって物を考えることができるか―このようなことをチェックしてみてください。気になる性格行動としては▽多動や粗暴▽非常に不器用▽集中力がない▽集団行動ができない―などがあります。

 〈慢性疾患〉気管支ぜんそく、食物アレルギーなどのアレルギー疾患やてんかんなどは学校でも発作を起こす可能性があるので、発作時の処置法や緊急の連絡先などを担任や養護の先生に伝えておきましょう。心臓病、腎臓病、糖尿病では「学校生活管理指導表」を利用することで運動や行事に対して配慮がなされます。

 最後に、入学後の環境の変化がストレスとなり、体調を崩す子どもがいます。学校での出来事などをよく聞いてあげるなどお子さんとのコミュニケーションをしっかりとって、体調の変化に早めに対応してあげましょう。

(西彼長与町高田郷、ひろた小児科院長 広田 哲也)
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