長崎新聞健康欄
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2006年10月2日掲載

快適なコンタクト生活を

 現在、国内のコンタクトレンズ(以下、CL)装用者は約千五百万人ともいわれています。CLは目に密着して使用する高度管理医療機器であり、眼科専門医の指導管理の下で適切に使用されなければ、重大な目の障害を引き起こす可能性があります。にもかかわらず、安易にネットで購入して、定期検査は全然受けないという人もかなり見受けられるようです。

 日ごろの診療においても、正しく使用していない人が多く見受けられ、CLに起因した目のトラブルで眼科を受診するケースが後を絶ちません。私が見てきたとんでもない使用例を挙げると▽人からもらったCLを装用(CLは度数が同じでも、一人一人の角膜のカーブに合わせてカーブが違い、また、メーカーが違うと形状なども異なります)▽ハードCLの洗浄を台所用の洗剤でしていた▽ソフトCLの煮沸を電子レンジでしていた▽二週間で使い捨てのCLをそれ以上装用―等々、びっくりするような使い方をしているケースが結構あるのです。このような事が起こらないように、正しい使い方を順守することは言うまでもありませんが、眼科専門医による定期検査を欠かさず受けることが大切です。

 CLが密着する角膜には血管がありません。血管のない角膜は涙に溶け込んだ空気中の酸素を利用して呼吸しており、CLをすると酸素の供給は減少します。そのためCLを長時間使用すると、角膜は酸素不足から角膜炎などを起こすことがあり、角膜炎が悪化し感染などを併発して、角膜混濁など永久的な視力障害を生じることもあります。装用中に「充血する」「痛んだり、ゴロゴロする」「かすむ」「目やにが出る」などの症状を感じたらすぐに外すことが大切で、早めに眼科専門医を受診してください。無理をして使えば、治癒に長い期間を要し、結果的には不自由することになります。特にソフトCLは傷を覆ってしまうため障害が起きても異物感を生じにくく、自覚症状が現れたころには病状がかなり進行していることが多いので注意が必要です。CLは目にとって異物ということを自覚して使用する必要があると思います。

 CLを使用していても眼鏡は必要です。目に異常が生じてCLが装用できないこともあり、そのときは眼鏡が必須です。外来でも、よく「眼鏡なんて持ちません」と答えられる方がいらっしゃいますが、これは間違ったCLの使い方だと思います。また、CLを非常に長期間装用している人の中に、角膜内皮という、角膜を透明に保つために重要な働きをする細胞が減少している人を見かけるようになりました。これもやはり、慢性的な酸素不足が原因と考えられます。日ごろから、帰宅したらすぐCLを外して寝るまでは眼鏡で過ごす時間をつくることや、一週間に一、二日はCLをしないで眼鏡で過ごす「休眼日」をつくるなどの工夫が必要だと思います。

 そして、快適なコンタクトレンズ・ライフを送れるようにCLを正しく使い、定期検査を受けるよう心掛けましょう。

(長崎市八百屋町、医療法人社団津田眼科医院院長 津田 佳助)
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