長崎新聞健康欄
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2006年10月16日掲載

あなたの皮膚は大丈夫?

 皮膚にはたくさんの病気ができます。その多くは目で確認できるので、注意すれば早く病気を見つけられます。かゆみ・赤みなどの症状が出たときには皮膚の病気と分かりますが、症状がなく見落としてしまうものも数多くあり、その中には放っておくと悪化し、問題となるものもあります。また、正しい治療を行わなかったために、症状が良くならないこともあります。本当にあなたの皮膚は大丈夫でしょうか? 皮膚の病気についてもう少し知っていれば、大事に至らなくて済むのです。そこで、皮膚の病気について少し説明します。

 かぶれを経験した方は多いと思います。かぶれは、実は自分の皮膚に付いた有害な物質(例えばウルシ)を、かくことによって取り除こうとする体の反応で、つまり、人間の体にとって、かぶれは正しい行為なのです。しかし、赤み・かゆみといった不都合な症状が起こることが問題となります。かぶれるということは「自分の体の反応が正常に起こっているんだな」と考えて、原因となっているものに触らないように注意するのが一番です。原因が分からないときには皮膚科医を受診して、パッチテストという検査で原因をはっきりさせる必要があります。

 水虫にかかっている方も多いと思います。水虫は皮膚の一番表面にある角層という場所に生えたカビで、問題はかゆくない水虫があるということ。かゆみがないので放っておくと、他の人にうつしてしまいます。また、水虫は治らないと思っている人も多いと思いますが、治すことができます。ただ、いったん治っても再発しやすいため、完全に治してしまうことが難しく、塗り薬を塗るとすぐに症状は治まりますが、治療を途中でやめてしまうと、まだ皮膚に残っているカビが再発してきます。さらに、家族に水虫の方がいると、せっかく治ってもお風呂のマットレスなどからうつされてしまいます。症状が治まってもしばらく塗り薬をつけるとともに、水虫を持っている家族の方も一緒に治すことが大切です。

 ほくろにとてもよく似たがんがあります。メラノーマ(悪性黒色腫)といい、足の裏、爪に多くできます。小さいうちに切り取ってしまえば心配ありませんが、放っておくと転移を起こします。良性の「ほくろ」と見分ける方法は(1)大きさが六ミリ以上(2)形が丸くなく、いびつである(3)色が濃かったり、薄かったりしている(4)「しみだし」がある(5)盛り上がっている―などです。当てはまる症状があれば皮膚科医にご相談ください。

 なお、長崎県の皮膚科専門医の集まりである長崎臨床皮膚科医会では、「ひふの日」のイベントとして十月二十一日午後三時から、大村市のシーハットおおむらで「あなたの皮膚は大丈夫?―アレルギーから皮膚癌まで―」をテーマに講演会や展示、相談会などの催しを予定しております。大切な健康を守るためにもぜひご参加いただければと思います。

(長崎市坂本一丁目、長崎大医学部皮膚科教授 佐藤 伸一)
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