長崎新聞健康欄
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2007年2月5日掲載

無月経〜思春期から更年期まで

 一般的に月経は十二歳ごろから始まり、五十歳前後で終わります(閉経)。成人女性の誰にでもあるはずの月経がないことを「無月経」といいます。

 月経は最初のうちは不規則なことが多く、十五歳ぐらいになると、ほぼ一カ月前後の規則的な周期で見られるようになります。従って十五、六歳になっても月経がないことを「原発性無月経」といいます。この原因としては、卵巣や子宮の欠損、処女膜閉鎖など内性器の疾患および先天的な染色体異常などがあり、専門医への相談が必要です。また、十八−二十歳ぐらいになっても規則的な月経が見られない場合も、基礎体温を測って、排卵の有無を調べる必要があります。

 これに対し、ほぼ順調にあっていた月経が三−六カ月も見られなくなる場合を「続発性無月経」といいます。月経周期はおよそ二十二−四十五日型です。それより短くても長くても無排卵のケースが増えてきます。原因としては、ストレスや高プロラクチン血症、多のう胞性卵巣などいろいろあります。特に問題なのが、中学生から高校生に時に見られる、無理なダイエットの結果起こる無月経(思春期やせ症、体重減少性無月経)で、重症化しやすいといわれています。食事を取らないなど無理なダイエットはぜひ避けてください。本当に体重を減らす必要があれば、間食や甘い物を控えるなど食生活を見直すとともに、運動をし、健康的に少しずつダイエットしてください。いずれにしろ急激な体重の増減は月経不順や無月経の原因の一つになります。

 また、無月経の重症度により、第一度無月経(卵巣からはエストロゲンとプロゲステロンが分泌されており、そのエストロゲンがある程度、分泌されていることを意味します)と第二度無月経(卵巣が全然働いていない)に分類されます。排卵がなければ排卵誘発剤による治療を行います。内服薬から始め、効果が不十分であれば注射が用いられます。

 成熟期の女性では、月経不順や無月経が認められれば、妊娠の希望の有無にかかわらず、治療の必要があります。順調にあった月経も四十五歳を過ぎると、女性ホルモンの急激な低下に伴い不順になりがちで、やがて五十歳前後で閉経しますが、三十八−四十歳前後で止まるケースもあり、「早発閉経」とも呼ばれます。閉経によって、HDL(高比重リポたんぱく)コレステロールの低下やLDL(低比重リポたんぱく)コレステロールの上昇をはじめ、高脂血症や血圧の上昇、骨量の低下、皮膚の老化、肥満が見られるようになり、更年期障害を強く訴えることがありますが、これらはエストロゲンの投与で改善します。また、女性ホルモンを投与する「ホルモン補充療法(HRT)」によって月経を起こすことで、老化を防ぎ、若さを保つこともできます。治療が必要だと思われる方はHRTの方法、そのメリット、デメリットについても、婦人科の先生へご相談ください。

(長崎市松山町、杉田レディースクリニック院長 杉田 佑保)
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