長崎新聞健康欄
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2007年5月21日掲載

もしかしてドライアイ

 わが国のドライアイの推定患者数は従来の試算では八百万人とみられていますが、それ以上の潜在患者がいると推測されています。ドライアイは単に目が乾燥する、涙が少ないだけの疾患のように思えますが、種々の要因で悪化し、さまざまな症状が出ます。

 本来、涙は目の正常な働きに欠かすことができないもので、目の中のごみなどを洗い流し、角膜を雑菌や異物から守ります。角膜が傷付いたときには傷の修復にも役立っています。それだけでなく角膜に酸素や栄養を送って角膜の透明性を保ち、網膜に鮮明な像を映し出す役割もあります。

 涙は涙腺で作られ、まばたきによって目の表面を潤した後、10%は蒸発し、残りの90%は「鼻涙管」を通って鼻の方へ流れていきます。

 また、角膜は皮膚と同様に外界に接していますが、透明性を保って光を取り入れるため、五層から七層の弱い上皮細胞に覆われています。そのため、ちょっとした角膜の傷害でも神経が露出しやすく、目の表面は軽い痛みを素早く感じます。裏を返すと目は重要な器官であるため、痛みに敏感に反応して、大きな障害を残さないようになっているわけです。

 ドライアイには涙腺そのものに構造的な異常を来して涙の分泌量が減少する疾患もありますが、涙の産生や蒸発に影響を与えてドライアイを悪化させる三つの原因があるといわれています。

 まずは仕事場や家庭にパソコンが浸透したことなどがあります。車の運転や読書などもそうですが、作業に集中しているときにはまばたきが自然と少なくなり、目が乾燥します。

 次に生活環境の変化があります。乾燥した部屋で長時間過ごしたり、コンタクトレンズを着けていたりすると、涙の蒸発が増加します。最後に夜遅くまで起きていたり、ストレスを強く感じていたりすると涙の質や量が低下して、目が乾燥しやすくなります。

 ドライアイになると「目が疲れやすい」「目がゴロゴロする」などの症状がありますが、ひどいときには頭痛を伴ってく
ることもあります。場合によっては見え方にも異常を来します。

 一度、ドライアイの自己診断(表参照)をしてみましょう。該当する人はワープロ、パソコンの使用時に定期的に休憩を取り入れ、部屋の湿度を保つなど日常生活を見直してみてください。眼科専門医に相談することも大切です。

▽ドライアイの主な自覚症状▽

 当てはまる項目をYesかNoで選んでください。ただし、年に1、2回程度の症状は当てはまりませんが、軽度でも長時間にわたって現れる症状はYesを選んでください。

 1)  目が疲れやすい Yes/No
 2)  目やにが出る Yes/No
 3)  目がゴロゴロする Yes/No
 4)  目が重たい感じがする Yes/No
 5)  目が乾いた感じがする Yes/No
 6)  何となく目に不快感がある Yes/No
 7)  目が痛い Yes/No
 8)  涙が出る Yes/No
 9)  ものがゆがんで見える Yes/No
 10) 目がかゆい Yes/No
 11) 光を見るとまぶしい Yes/No
 12) 目が赤い Yes/No

 Yesが5つ以上ならドライアイの可能性があります。

(諫早市幸町、まつお眼科医院院長 松尾 健治)
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