長崎新聞健康欄
前の記事へ 記事一覧へ 次の記事へ

2007年10月1日掲載

目薬の注意点

 目の炎症や乾燥などを抑えるために手軽に使われる目薬ですが、誤った使い方をしている場合もあります。ポイントを押さえ、より効果的に、安全に利用しましょう。

 まず目薬をつけるときは手をよく洗うなど、清潔に取り扱ってください。目薬の容器はまぶたやまつげに触れないように、涙を吸い込んで汚染されないように、目から離して使います。

 目薬は角膜、結膜で吸収されます。目の中やまぶたにも入っていきます。目を閉じたときにできるまぶたと眼球の間の空間「結膜嚢(のう)」は、約三十マイクロリットル(一マイクロリットルは千分の一ミリリットル)という狭さです。一方、目薬一滴の量は二十七−五十マイクロリットルです。もともと涙が七マイクロリットルあるので、目薬の量は一滴で十分です。余った目薬は目の外にあふれて目の周りの皮膚を荒らすこともあるため、よくふき取るようにしてください。

 また、「涙点」という涙の出口から鼻、のどの奥に入って全身に回り、薬によっては全身的副作用を起こすこともあります。緑内障の一部の薬などは心臓病やぜんそくを悪化させることがありますので、そういった病気のある人は病院で目薬を選んでもらってください。

 治療効果を高め、副作用を起こしにくくするためには、点眼後一分くらい目頭を押さえて目を閉じておくといいでしょう。目薬が二種類以上あるときは、続けてさすと薄くなってしまいます。五分くらい間をあけた方がいいです。

 目薬は開封しなければ長く持ちますが、開封後は汚染されることがあり得ます。一カ月くらいで交換した方がいいと思います。目薬は一本五ミリリットルのものが多いのですが、蒸発なども考えて実際には五・二−五・三ミリリットルと少し多めに入っています。一滴の量は容器で違いますが、百−百五十回分は入っています。一滴が約五十マイクロリットルの場合、一回一滴で一日四回、両目にさすとすると、二週間前後でなくなる計算になります。

 目薬の保存は通常は常温で構いません。冷所保存のタイプは冷蔵庫に入れておくと安心です。

 患者さんから「寝る前にさしてもいいですか」と質問されることがありますが、硫酸亜鉛を含んだもの(今はほとんどありません)以外は構いません。「コンタクトレンズの上からさせますか」とも聞かれますが、吸収をよくし、効き目を十分出すためには、ハードレンズは外してください。ソフトレンズの上から点眼するとまずソフトレンズに吸収され、その後涙に出てきます。濃度が一定せず、また目薬に含まれる防腐剤などがレンズに付着することもあり、好ましくありません。ソフトレンズもやはり外した方がいいでしょう。

 目薬の中の防腐剤による角膜障害が問題となる場合があります。最近は容器にフィルターを付けて、防腐剤を使わないタイプも出てきました。ただ、これは点眼しづらく、まだまだ改良が必要です。

 以上、幾つか注意点を挙げましたが、点眼していて何か異常を感じたら、早めにかかりつけの病院を受診するようにしてください。 

(長崎市馬町、平山眼科医院院長 平山 善章)
>>健康コラムに戻る

前の記事へ 記事一覧へ 次の記事へ