長崎新聞健康欄
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2007年12月17日掲載

インフルエンザ

 国立感染症研究所は十一月二十七日、北海道をインフルエンザの警報地域に指定、また次の週には全国的に流行する可能性を指摘しました。これは全国で定点調査を始めた一九八七年以来、最も早いペースで、今後大流行が心配されます。

 インフルエンザは低年齢層がかかりやすく、そのため流行、拡大は小学校で始まることが多いといわれています。学校から家庭に入り、成人、最後に高齢者へと感染していきます。高齢者の罹患(りかん)率は低いのですが、いったん感染し肺炎などの合併症を起こすと死亡率は他の年齢群を抜いて高くなります。

 インフルエンザにかからないためには予防接種を受けるのが一番です。ワクチンを接種すると約四週間で、インフルエンザウイルスをやっつける抗体(タンパク質)ができます。これがウイルスが侵入してくると即座に撃退する免疫応答を引き起こし、病気から免れることができるのです。

 ほかに栄養と休養を十分取るのはもちろん、手洗い、うがいを励行するのは一般の風邪と同じです。インフルエンザは主にくしゃみやせき、たんなどの飛沫(ひまつ)を介して感染するため、マスク着用が効果的です。

 インフルエンザは普通の風邪と違い、ウイルスが咽頭(いんとう)などですさまじいスピードで増殖し、血流に乗って全身に行き渡ります。このため、昨夜は少しのどが痛い程度だったが、夜中から三九度台の発熱、朝起きると動けないくらいの倦怠(けんたい)感、全身の関節痛などを併発し、病院を訪れる人が多いようです。肺炎、脳炎など命にかかわる合併症を引き起こすこともあるので、油断大敵です。

 仮にインフルエンザにかかったら、病院に行き、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬(経口薬、吸入薬、小児用ドライシロップ)を医師に処方してもらうのが賢明です。これらの薬はインフルエンザ発症後(急な発熱後)四十八時間以内でないと効果がないといわれています。できるだけ早めに病院に行きましょう。

 抗インフルエンザ薬のタミフルをめぐって、服用後の異常行動が少なからず報告され問題になっています。因果関係ははっきりしていませんが、注意が必要です。タミフルを服用する場合は医師の説明を十分受け、納得の上で治療に臨みましょう。タミフル以外では吸入薬のリレンザが有効ですので、受験生らは病院で相談してください。

 現在はAソ連型が大半ですが、A香港型も流行しつつあります。今後、年末年始の正月帰省によって全国に広がり、B型が加わる恐れもあります。いずれの型でも現行のワクチンで効果があります。

 ただ、ワクチンの効果が出るまで三−四週間かかりますので、早めに予防接種を受けてください。六十五歳以上の人には自治体の補助があるので、必ず受けるようにしてください。

(城栄町、さくら内科院長 佐々木 豊裕)
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