長崎新聞健康欄
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2008年2月18日掲載

花粉症

 「くしゅん、くしゅん」「ぐず、ぐず」。今の時期、皆さんの周りでも花粉症に悩んでいる人が多いことでしょう。花粉症とは時期限定で起こる季節性のアレルギー性鼻炎のことをいいます。

 花粉症の原因としては、スギやヒノキの花粉がよく知られていますが、ほかにもハンノキとか、北海道でのシラカンバもあります。これら樹木の花粉症が春に多く見られ、その後、夏にかけてカモガヤ、ハルガヤなどイネ科の植物、また秋にはブタクサ、ヨモギなどキク科の植物による花粉症もあります。

 毎年決まった時期になると鼻水、くしゃみ、鼻づまりが出現するようであれば、それらの樹木や雑草による花粉症かもしれません。希望があれば病院で調べられますので、相談してください。

 花粉症の予防法はまず、天気のよい、特に風の強い日は外出を避けることです。やむを得ず外出する際には必ず帽子や眼鏡、マスクを使用するとともに、洋服も表面が滑らかで花粉が付きにくいものを着用することです。普段コンタクトを使っている人もこの時期は眼鏡の方がいいでしょう。家庭では洗濯物や布団を外に干さず、掃除の時にも窓をなるべく開けないようにしましょう。

 花粉を吸わなければ症状は出ません。新聞などの花粉飛散情報を常に注意して、花粉を徹底して避け、家の中に入れないことが大切です。

 治療は、花粉症の診断がつけば内服薬を主体に、補助的に点鼻薬などを使用します。現在は眠気の少ない抗アレルギー薬が何種類も出ているので、病院でその人に合った薬を見つけることになります。薬にも相性がありますので、何回か受診して自分に一番効く薬を探してもらうことと、その名前を覚えておくことが大事です。

 内服薬は飲んですぐに効くものではありません。花粉が飛散し症状が出てから飲むよりも、おおよその時期が分かっていれば飛散開始の一週間前から飲み始める予防的治療法が有効です。症状が薬で治まっても、花粉が飛んでいる間は持続して服用してください。

 特殊な事情により、薬が飲めない人には手術療法があります。鼻の粘膜をレーザーや薬などで焼く方法です。粘膜を焼いて固めることにより、花粉が付着しても反応が鈍くなり、過剰な抗原抗体反応が起こりにくくなることを利用したものです。ただ、症状が出てからでは遅く、少なくとも飛散開始時期の一カ月前までには終わらせておく必要があります。

 最後になりますが、県耳鼻咽喉(いんこう)科医会などは三月二日午後一時半から三時半まで、諫早市宇都町の市健康福祉センターで、耳の日(三月三日)を記念した公開講座を開きます。中耳炎や耳鼻咽喉科の救急に関する講演や聴導犬の紹介などがありますので、ぜひ参加してください。

(諫早市小野町、たぶち耳鼻咽喉科医院院長 田渕 富三)
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