長崎新聞健康欄
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2008年3月17日掲載

入学、入園を前に

 お子さんの入園、入学式も間近です。こうした時期にこそ、小児保健の面から確認していただきたいことがあります。

 まず、予防接種です。定期接種と呼ばれ、公費で受けられるものは接種時期が決められています。受け忘れがないか母子手帳で確認してみましょう。今から接種を希望される場合はかかりつけの医師か、最寄りの保健所に尋ねてください。県民であれば県内全域で受けることができます。

 麻疹(ましん=はしか)は昨年、全国的に流行したこともあり、特に注意が必要です。通常は麻疹と風疹(ふうしん)の混合(MR)ワクチンを、一歳から二歳の間に一回目(第一期)、小学校就学前の一年間に二回目(第二期)を受けるようになっています。

 第一期を受けていなかった子どもも入学前の接種は可能ですので、必ず三月中に接種してください。期間を過ぎての接種に公費は適応されないので注意が必要です。今年四月から五年間の予定で、中学一年生と高校三年生に相当する一年間での追加接種(第三期、第四期)も始まります。

 日本脳炎ワクチンはちょっと複雑な状況にあります。現行ワクチンが入手困難になっている上、新ワクチンが開発されたものの認可時期が未定なのです。現場は困惑しており、早急な国の対応が望まれます。

 流行性耳下腺炎(=おたふくかぜ)や水痘(すいとう=みずぼうそう)のワクチンは任意接種ですので、希望される場合はかかりつけ医に相談してください。

 心臓病や腎臓病、神経の病気など慢性の病気を持っているお子さんは入園、入学後の運動や行事への参加などについて、医師から具体的な指示を受けておく必要があります。アレルギーで摂取してはいけない食品がある場合も、学校や園側に必ず伝えておきましょう。

 子どもたちの発育で近年、注目されているものに軽度発達障害があります。

 広汎性発達障害と呼ばれるものは▽友達とうまく遊べないなどの対人関係の困難▽言葉やコミュニケーションの障害▽興味のあるものが極端に限られる▽強いこだわりがみられる−などが診断に結び付く兆候です。注意欠陥多動性障害(ADHD)は▽落ち着きがない(多動)▽座って話を聞くことができない▽忘れものや物をなくすことが多い▽順番を待つことができない▽他人の活動を邪魔することが多い−などがみられます。

 これらは保護者だけでの判断は難しいと思われます。まずは園や学校での様子を先生に聞いてみましょう。専門機関に相談が必要な場合もあるかもしれません。

 入園、入学後はしばらく、子どもたちは緊張した日々を過ごすことになります。こういう時期こそ、ゆとりを持って、子どもたちを見守ってやりたいものです。

(長崎市岡町、ごんどう小児科院長 権藤 泉)
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