長崎新聞健康欄
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2008年6月16日掲載

日焼け止め


 紫外線が気になる季節です。薬局をのぞくと、多くのいろんなタイプの日焼け止めが販売されています。そこで購入する参考に、パッケージや容器に表示してある項目の主なものを説明します。

 地表に届く紫外線には長波長紫外線(UVA)と中波長紫外線(UVB)があります。UVAは皮膚の深部に到達し老化現象を促進します。UVBは皮膚を赤くする作用があり、通常の日焼けの症状はほとんどがこれによるものです。

 日焼け止めでよく見る「SPF」はUVBに対する防御効果を示しています。ある人が日に当たって、十分で日焼けを起こしたとします。SPF20は、その人が使った場合に日焼けを起こす時間が二十倍、つまり二百分になるという意味です。数値は50が上限となっています。

 次に「PA」はUVAに対する防御効果を示すものです。「+」が一つから三つの三段階で表し、「+」が多いほど防御効果が高くなります。SPFやPAの表示は国内メーカー間で統一されています。

 使用目的を考え、買い物など日常のちょっとした外出程度なら、SPF20から30、PA「+」から「++」で十分です。運動会や海水浴など、晴天の戸外で長時間過ごす場合は、SPF40から50、PA「++」以上がよいでしょう。なお、効果を上げるため、二時間くらいで塗り直すことをお勧めします。

 「アレルギーテスト済み」の表示は、アレルギー反応によるかぶれの可能性が低いことをうたっています。「ノンコメドジェニックテスト済み」という表示は、コメドを生じさせにくいかどうか調べたという意味です。コメドとはいわゆる白にきびのことで、毛穴がふさがって皮脂がたまった状態です。これに細菌の影響が加わると赤くなり、通常のにきびとなります。化粧品などで毛穴がふさがれると生じやすくなるので、注記しているのです。

 「○○不使用」「○○フリー」という表示もあります。よくあるのは「紫外線吸収剤不使用」というものです。日焼け止めが紫外線を防御する仕組みには、紫外線を化学物質に吸収させて皮膚に届かないようにする方法と、金属の微粒子などで紫外線を反射してしまう方法があります。紫外線吸収物質は、まれに皮膚にかぶれを起こすことがあるのです。

 ほかに防腐剤や香料などの不使用をうたったものもあります。

 ほとんどの日焼け止めは「医薬部外品」です。医薬部外品は配合できる成分が法律で決まっていて、作用の強いも
の、刺激性の高いものは使えないようになっています。

 日焼け止めや化粧品などで肌のトラブルを起こしたことがある人はこれらの表示を参考にし、そうでない人は実際に使ってみて、使用感のいいもの、気に入ったものを選ぶとよいと思います。


(長崎市古川町、わたなべ皮ふ科 院長  渡辺 雅久)
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