長崎市医師会
長崎市医師会について

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ご 挨 拶

 日本における近代西洋医学教育の父といわれるオランダ軍医ポンペ・ファン・メールデルフォールト先生は、1857年に長崎大学医学部・病院の前身である医学伝習所・小島養生所を開設されました。ポンペ先生は、その当時において貧富や身分上下の差別なく診療し、「医師は自らの天職をよく承知していなければならぬ。ひとたびこの職務を選んだ以上、もはや医師は自分自身のものではなく、病める人のものである。もしそれを好まぬなら、他の職業を選ぶがよい。」という言葉を残されました。つまり、医聖ヒポクラテスの誓いにもある「自由人であれ、奴隷であれ区別無く医術を行う」といった精神・魂のもとに診療を行うことを命じています。また、ポンぺ先生は、「医者は、よるべなき病者の友」とも述べて、私ども医師の心得としてとても大切なもの、病にある弱い立場の人に常に寄り添い何とか救わんとする役割を医師は担うものだと教えています。

 故・宇沢弘文東大名誉教授は、その著書「社会的共通資本」の中において、社会的共通資本とは、「一つの国ないし特定の地域が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的かつ安定的に維持することを可能にする自然環境や社会的装置」と規定し、医療は教育とともに最も重要な社会的共通資本の要素であると位置付けました。医療の根本的基盤は、医療者が献身的に病者を診ていくこと、そのことによって人々が医療者に信頼をおくという理念に支えられて生じるとも謂れました。

 そのことを受けて私ども長崎市医師会は、私どもの役目を、@医療の充実による地域住民の方々への安心・安全の医療提供体制を堅持し、A医師会員とともに行政と協力して住民の健康を守ること、Bそのような活動を担う医師会員をはじめとする医療従事者を支援することと考えます。そのため、長崎市医師会は日常の診療を通じて地域社会に貢献する会員の活動を支えるとともに行政と協力して住民の方々への医療・保健・介護・福祉等のサービスの更なる充実に向けて会員と一緒に実現するという使命を果たすべく邁進して参ります。

 令和2年からのCOVID-19感染症は、令和5年5月8日より分類2類相当から5類に移行し、令和6年4月からは、インフルエンザ等と同等の診療に係る扱いとなりました。とはいえ、高齢者やハイリスクの方への感染は、重症化の恐れがあることに変わりなく、感染予防対策を怠ることの無いよう注意が必要です。と同時にこれからの新興感染症や再興感染症への対応を怠ることのないように体制を整えたいと存じます。

 また毎年、各地で大きな豪雨災害や地震等の自然災害が生じています。令和6年1月の能登半島地震などのような種々災害時における医療提供体制の整備について留意すべき点として、COVID-19をはじめとする感染症対策を講じての災害対策が必要です。長崎市医師会は、災害時の医療提供体制の確保のために、県が指定する災害拠点病院だけでなく、会員が運営する9つの病院に災害時協力病院としての役割をお願いしています。更に、災害時の非常かつ緊急事態に際し、協力病院の近隣の会員に災害時協力病院への出動協力をお願いするとともに、長崎大学病院をはじめとする県内救命救急センターや消防・自衛隊等のご協力のもと会員向けに災害時対応訓練を行い、地域住民への救急医療と安全確保を担うことのできる災害時医療提供体制の確保に努めております。

 地域が、少子・高齢社会となるこれからの時代に向けて、医療・介護・福祉等の整備が重要な課題となってきています。入院体制を調整し在宅医療を推進する地域医療構想と高齢者が住み慣れた地域でより良い生活できるよう多職種協働で支援を行う地域包括ケアシステムの構築に向けた、COVID-19等の感染対策と併存する医療・介護・福祉等の新たな体制造りに向けて長崎市医師会は会員とともに邁進して参りたいと存じます。

 


長崎市医師会 会長
松元 定次

 


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